ここまで読んで、少し重くなった人へ
1章〜4章まで読んで気が重くなった人も多いかもしれません。
下請けをしていることは悪だと感じてしまった人もいると思います。
でも、下請けをすることが全て悪いというわけではないのです。
下請けをしたからこそ得られるメリットもたくさんあります。
何事も順序があり、何事も経験が必要です。
いきなり富士山の頂上に行ける人はいません。富士山登頂したかったら、まずは登山道具を買い、体調を整え、自宅を一歩出ることから始まります。何かを達成したかったら前準備が一番大事です。
下請けをするというのは「元請けになるために準備期間」です。
人生経験は無駄になることはありません。今まで得た経験やスキルは次のステップアップのために生かしていきましょう。
1、下請けが守ってくれるもの
下請けをすることはメリットもたくさんあります。
人によってはデメリットではなくメリットの方が大きい人もいるでしょう。
下請けは、
- 営業しなくていい
- 集客を考えなくていい
- 現場に集中できる
- 毎月ある程度の仕事が来る安心感
というメリットがあります。
職人は「現場に集中できる」というのは大きなメリットでしょう。
集客も自分でして、お客様との打ち合わせもして、現場の段取りもして、近所挨拶もして、集金もするとなるとたくさんの仕事を自分でやらないといけません。
このような雑務が増えると、力が分散されるため現場や教育に集中できず、経営がブレてしまうという問題が出てくるかもしれません。
また、「今日も仕事がある」という安心感があれば、今日の朝も明日の朝も安心して迎えることができます。下請けとして働き、仕事が安定的にあれば脱却する理由もなくなるかもしれませんね。
そのため多くの塗装会社や一人親方は下請けに徹している部分もあります。
このようなメリットがあるため、下請けから脱却する強いエネルギー(怒りのエネルギー)が削がれてしまうというのはあります。
2、独立初期にとっての下請けの大きな価値
独立してすぐに「元請け」になることはハードルが高いです。
まずは下請けとして働き、仕事のルールを学べるというのは大きなメリットでもあります。
独立初期に下請けであるメリットとして、
- 現場の流れを学べる
- 段取りが学べる
- 職人同士の関係が作れる
- クレーム対応の裏側が見える
- 材料・業者・職種のつながりができる
ということがあります。
塗装技術はあっても、独立初期は経営のことは右も左も分かりません。
いきなり上手にできる人は皆無でしょう。
そう考えると、独立初期は下請けとして一生懸命働き経験を増やしていくことも大事です。
独立初期は「お金を稼ぐ」というより「学校で学ぶ」というスタンスでいればこんなに良い学校はありません。
ただし注意点としては、下請けという湯に浸かりすぎると抜け出せなくなる点もあるので、いつかは下請けから抜け出すというマインドセットは持っておくべきです。
3、下請けでしか学べないこともたくさんある
下請けだからこそ学べることも多いでしょう。
元請けから仕事をもらってただこなしていく。という行動だと学べることは少ないですが、「元請けから学ぼう」「元請けの仕事術を盗もう」という意識であれば学べることはたくさんあります。
それこそ「最高の学校」になり得ます。
まずは「元請けの動き」を見ましょう。元請けはどのように集客して、どのように営業して、どのように現場を動かしているのかなど、学べることはあります。
例えば元請けがホームページで集客しているのであれば、ホームページをどのように作っているかを研究できます。
Google検索で「〇〇市 外壁塗装」で上位表示できていて集客できているのなら、どんな記事を買いているのかなどを調べることができます。
チラシで集客できているのであればどのようなチラシを作っているのか研究できます。
現場の動きを学ぶこともできるでしょう。
お客様とどれくらいの頻度で打ち合わせしているのか。どれくらい現場に顔を出すのか。どの足場屋、どの板金屋を使っているのかなども見ることができます。
足場を組む前に挨拶回りをしているのか、工事終了後はどのように挨拶回りをしているのかなども見ることができれば自分が元請けになった時に生きてきます。
良い口コミをもらったり、ご紹介をもらうためには「お客様対応」も大事な要素です。
お客様と信頼関係を結ぶために何をしているのかも盗み出しましょう。紹介や口コミが多い会社はお客様から愛される理由があります。
小さなこと(地味で目立たないこと)を積み重ねてお客様に愛されている可能性もあります。その成功事例を学びとることも下請けの時です。
そして、「お金の流れ」を見ることも大事です。
集客(チラシやWeb広告費)にどれくらいお金をかけているのか、足場代などにどれくらい費用がかかっているのか、残るお金はどれくらいなのかを推測することもできます。
下請けの時は、いろいろな元請け会社の仕事をすることが多くなりますよね。
元請けによっては、「勢いがあり、景気の良い会社」もあれば、「もう成長する気がなく死んだような会社」もあります。
この違いはなんなのか?自分が元請けになった時はどの会社を参考にするべきか?ということを下請け時に学びましょう。
上にいる人間の背中を見ることは、無駄になることはなく将来の財産になるのです。
4、問題は“立場”ではなく“固定”されること
このように見ると「なんだ。下請けは良いことばかりじゃないか」と思うかもしれません。
はい。そうです。
下請けは人によっては良いことづくめなのです。こんな良い環境を捨てる理由はないと考える人も多いはずです。
ただし、そういう人はこの記事に読むこともないはず。
あなたはきっと、下請けを脱却したいからこそ、このホームページに訪問してくれて、自分の人生を変えたいと思っているはず。
そう。下請けになるかならないかを選ぶのはその人の自由です。
苦痛も多いけど、下請けでそんなに不満がないのであればこのまま下請けとして突き進んだほうがいいでしょう。
でも、下請けではなく自分で仕事を取って、自分のやりたい仕事(丁寧な仕事)をして、もっと良い収入を得て、自分らしい生き方をしたいと思うのなら、いつかは下請けを脱却した方がいいです。
下請けは基本的に「選べない状態」にあります。つまり、「この仕事はしたくない」「この仕事はしたい」という選択肢はありません。
元請けから仕事が来たら基本的にやらないといけないのです。
「断れない環境にある」と言えます。
県外の仕事をしてくれ。とか、夜勤の仕事をしてくれ。と言われたら承諾しないといけません。それを断れば「じゃあ別の会社に頼むわ」となってしまいます。
それが下請けの弱さというか、元請けの奴隷というか。非常に怒りのエネルギーが沸き立つところです。
そして「価格を決められない」という現実もあります。
「この家の塗り替え65万円でやって」と言われたらやるしかありません。65万円で利益を残そうとすれば、仕事を早く終わらせる必要があります。時間をかけて丁寧に作業してるヒマなどないのです。
それが常習化してしまうと「あそこは傷んでいないから2回塗りでいいだろう」「錆止めは塗らなくていいだろう」など手抜きをしないといけない状況に追い込まれるのです。
それを下の人間が見ていたら彼らも手抜きが当たり前になってしまいます。
職人である以上、自分を偽ることなく、お客様に喜ばれる仕事をしたいものです。
良い仕事をするためにはやはり「自分が元請けになる」というのが理想です。
下請けであることは決して悪いことではないのですが、「下請けしかできない自分」「下請けしか選択肢がない自分」という「下請けしか選べない状況」が私は良くないと思います。
5、「選べる下請け」という考え方
最初から元請けに移行しようというのは難しい話です。
ですので一歩一歩元請けに近づくように前進していく考え方が大事です。
まずは試しにチラシを作って、配布してみると良いでしょう。そうすると意外な結果が出てくるものです。
私が初めてチラシを配った話をします。
15,000枚のチラシを配ったら3件から問い合わせがありました。そして1件契約をすることができました。
15000枚配るには「新聞折り込み代約50,000円+印刷代約35,000円=約85,000円」となりました。
工事代が800,000円でしたので、1件契約するのに85,000円かかったことになります。
ここから足場代(16万円)や塗料代(10万円)を引くと450,000円前後の利益になります。
「15000枚配って3件の問い合わせ?少なすぎるだろう」
「45万円しか儲からないの?元請けやる意味ないじゃん」
と思われるかもしれません。
実はそうなのです。
まずチラシの反応ですが、こんなものです。「チラシを配ったら電話が殺到するのでは?」と思いがちですが、そんなことはありません。そこはご安心ください。
チラシの反応率は非常に低いです。それもそのはず。新聞を読んでいる人は別に「外壁塗装したい!」と熱望している人ではありません。ボーッと新聞を読んでいる人ばかりです。ですので15,000枚配って1件の問い合わせがあれば良いほうなのです。
そして利益ですが、最初のほうは利益は少ないです。
最初は無名から始まります。どこの馬の骨かもわからない人に塗装をお願いしたいと思う人は少ないです。ですので最初は価格を安めに設定することになります。
ですがだんだん名前を知られるようになり、良い口コミを得ることができればだんだん価格を上げることができます。
そして「この会社にお願いしたい」「この職人にお願いしたい」という使命買いをされるようになれば1棟100万円以上の利益を得ることも可能になってきます。
これは価格だけではなくチラシの反応率も上がってきます。
定期的にチラシを配っていると「去年入ってきたチラシなんだけど冷蔵庫に貼っていたのよね。ちょうど今年塗装をしたいと思ったから連絡させてもらったわ」ということが増えています。
つまり、最初は問い合わせは少ないけど、2年後、3年後になると問い合わせが増えてくるという現象が起きます。
最初から大きな結果は期待できないので、下請けをしながら着実に前進していくことが大事なのです。
そうやって形が出来上がっていくと、「忙しい時は自分の仕事(元請けとしての仕事)」をして「ヒマな時は下請け」をするという選択をすることができます。
また、「条件の良い元請けだけと付き合う」、「信用できる元請けだけと付き合う」というふうにこちら側が主導権を握るということもできます。
主導権を握ることができれば、価格や日程の交渉ができるようになるのです。
元請けは、弱い立場の人間には強気に出ますが、余裕があり強い立場の人間には対等に接するようになります。
あなたが主導権を持つ強い立場になることがとても大事です。
6、下請けでい続けるか、元請けにステップアップするか。それはその人が決めること
ここで書いてきたように、下請けは決して悪いことではありません。良い面もたくさんあるし、でも悪い面もたくさんある。
ですので、下請けとして仕事を続けるのが合っている人もいるはずです。そういう人が元請けを目指してもきっとうまくいかないでしょう。
ただひとつ知って欲しいのは「別の道もある」ということです。
「下請けだけ」ではなく、「下請けをしながら元請けもする」という道もあります。
ただそれは、待っているだけでその道は現れません。
「元請けもしたい」→「じゃあ今何ができるか」→「よし、じゃあまずはこれをしてみよう」という小さな行動を起こすことで別の道が見えてきます。
あなたにはどうか、別の道があることも知って欲しいと思います。
そして主導権を握れる人であって欲しいと思います。
もしあなたが
「選べる側になりたい」と少しでも思ったなら、
次は私が最初にやった「たった一つの行動」の話をします。


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