私は現在元請けとして仕事をしています。
つまり、お客様から直接仕事を頂き、当社が全て施工する形です。
では、このスタイルにするために最初にやった行動とは何か?
それは
「チラシを自分で作って、新聞折込で15,000枚配った」
ということです。
チラシを作った経験もなければ、新聞折込を依頼する方法もわかりませんでしたが、ネットで調べたり友人から話を聞いて手探りの状態で行動を起こしました。
前章でも少し話しましたが、15,000枚配って3件の問い合わせがあり、1件契約することができました。
中には「15,000枚配ってたった3件の問い合わせ?1件契約できて喜んでいるの?」と言われるかもしれません。
確かにそうです。少ないですよね。
でも私はこの結果が出たことで確信しました。
俺はできる!と。
なぜかというと、チラシは素人感万歳の出来ですし、配った枚数も15,000枚とそんなに多くありません。それなのに3件問い合わせがくるということは、自分のチラシは反応の取れる内容になっているのだと思ったのです。
これを他の地域に配っても同じような結果が得られると思いました。
根拠のない自信ですが、同じようにチラシを配っていけば仕事は取れるのではないかと思ったのです。
事実、2ヶ月後に同じチラシを別の地域に配ったら3件の問い合わせがあり、3件とも契約することができました。
「自作のチラシを新聞折込で15,000枚配った」
その一つの行動が、私が元請けとして生きていく小さな一歩となったのです。
チラシの作り方や新聞折り込みの依頼方法や戦略的なことはいろいろ話したいのですが、ここで話すと長くなるのでこれは別の記事で詳しくお話します。
この章でお伝えしたいことは、「小さな一歩が、後々大きな結果を生む」ということを知って欲しいのです。
私は16歳から塗装見習いとして働いているので学歴もないし頭も良くありません。そんな自分でもできたということは他の人にもできるのです。
「元請けになりたい」「下請けを脱却したい」と強く願う人は必ずできます。私自身ができたのでそれは確信を持って言えます。
ただし、「元請けになれば人生薔薇色」というわけではありません。
どちらかと言えば、細くて険しい危険な道を選択することかもしれません。
喜びもあれば、苦難もある。
その真実をこの章でお伝えします。
元請けになると何が変わるのか
まず知って欲しいのは「元請け=楽になる」ではありません。
楽にはならないが、仕事が楽しくなるといえます。
お客様から直接仕事を頂き、直接感謝の言葉を述べてもらえるというのはとても嬉しいことです。
下請けの時はもらえなかった感謝の言葉を直接もらえるのは、職人として嬉しいことです。このために俺は働いているんだと感じれる瞬間です。
でもやるべき仕事も責任も増えます。
どちらが良いかは、この章を読んで考えて欲しいと思います。
1、元請は楽になるわけじゃない
元請けになれば価格を自分で決めることができ、仕事も選べる。威張っている元請けと付き合わなくていいし、無駄な接待もしなくていい。こりゃー自由だー!
と考えるかもしれません。
ですが、
元請け=自由を謳歌する
というわけではありません。
どちらかというと「責任が増え、逃げ場がなくなる」と言えるでしょう。
元請けになればクレーム処理は自分でしないといけません。定期点検などの仕事も増えます。
保証を設けたら、保証期間内は無償で修繕しないといけません。
下請けの時は、元請けがクレーム処理もお客様対応も全てやってくれていました。工事後に悪いところが出ても修繕すれば元請けからお金をもらえることもあります。けっこう守られている部分もあるのです。
でも、あなたが元請けになったらこの全ての雑務はあなた自身がしないといけないのです。それを面倒と思うのであれば元請けに向いていないかもしれません。
逆に「面白そう」と思えれば間違いなく元請けに向いていますね。
自分が元請けになるということは、現場の仕事だけでなく、人生の責任も負うことになります。
それはお客様の人生の責任も負いますし、自分自身の人生の責任も負います。
下請けの時は、言葉は悪いですが「ただの下請けの職人」というスタンスでした。お客様に名前を覚えてもらうこともありませんし、感謝を直接言ってもらえる機会も少ないです。
ですが元請けになれば、自分の名前を全面に出します。お客様から名前で呼ばれ、感謝される時も誹謗中傷される時も自分の名前が出されます。
この責任を負える覚悟はあるか?
ということも大事なポイントです。
2、元請けになると決められるようになる
元請けになることができれば「価格を決める」ことができます。
下請けの時は元請けの言い値で仕事をすることが多いです。
「材料費込み65万円で塗り替えして」と言われたらその通りにするしかありません。
会話のできる元請けであれば「無理」「ふざけるな」なんて言えるかもしれませんが、ジャイアンのような元請けだと言いなりになるしかありません。
その点、あなたが元請けになれば価格を自分で決められるという選択が出てきます。
そして、工程を決めることもできます。
下請けで一番イラつくのは「工期がないから急いで」というところです。工期がないのは元請けの段取りが悪いせいなのに全てのしわ寄せは下請けにきます。
急げば良い仕事もできないし、休日出勤や残業もしないといけません。従業員がいればそれを強いる必要も出てきます。
自分が元請けになれば工期も工程も決めることができます。
そしてこれも大きな点ですが「仕事を受けるか断るか」という選択肢も出てきます。
現場によってやりやすいものとやりにくいものがあるでしょう。手間が余計にかかる現場もあれば、工期が短くてストレスを感じる現場もあります。
下請けとして仕事をしていると「断る」という選択肢はありません。
ですが、あなたが元請けになれば「変な客」「手間の喰う現場」「儲かりそうもない現場」だと思ったら断ることもできます。
仕事をするかしないかの決定はあなたが持つことになるのです。
元請けになると「収入が増える」ということだけでなく「選択肢が増える」ということも大きな希望です。
3、お客様との距離が変わる
「職人はお客様と会話するな」と言われたことはないでしょうか?
「お客様との会話は営業と現場監督がやるからお前らは喋るな」と言われることがあります。
まるでゴミ扱いです。
そのように言われると自分の存在ってなんなのだろうと落ち込んでしまいます。
「お客様のために良い仕事をしよう」という気持ちも湧きにくくなってしまいます。
これは下請けの闇です。
ですが、あなたが元請けになれば、お客様と直接会話し、要望を聞き、不安も解消してあげることができます。
見積もりには入っていなくても「灯油タンクが錆びているから一緒に塗ってあげようか」と思えばサービスで塗ってあげることもできます。
このようなサービスをすることでお客様から直接感謝の言葉をもらえますし、この行動が次のお客様を生む良い評判にもなっています。
元請けになることでお客様との距離が縮まるということがあります。それはもちろん感謝もクレームもです。
4、仕事の「中身」が変わる
下請けの時は、元請けから「いついつ現場入って、いついつまでに終わらせて」という指示をもらいます。
ですので基本的に「ペンキを塗る」ということが仕事になります。まぁペンキ屋なので当たり前ですね。
ですがあなたが元請けになるとただのペンキ屋を超越してきます。
塗ることだけが仕事ではなく、お客様との打ち合わせを行います。お客様が安心できるように、どのように作業を進めていくか、どの塗料を塗るか、工事は大体いつぐらいまでかかるかなどを説明します。
塗るだけだった仕事から現場を管理するという大きな業務になってきます。
こうなることで現場を見る目線が変わってきます。
今までは自分たちの仕事しか見えていませんでしたが、現場全体を見ると「いつ足場屋を入れて、いつ高圧洗浄して、いつ屋根塗装をして、いつ足場解体するか」など現場の流れを見るようになってくるのです。
手を動かす仕事から、流れを作る仕事に昇華していくのです。
確かにこれはめんどくさいかもしれません。誰もやりたくないことかもしれません。
ですが、このめんどくさいことをすることで人間としてのレベルが一気に上がります。
周囲の職人を見ても「自分の仕事しか見えてない人」がほとんどですが、あなたが元請けになると「現場の流れを作る人」になり他者よりレベルの高い人間になれるのです。
めんどくさいことを避けるのは簡単です。
誰だって広くて平らな道を歩みたいでしょう。でもその終着点は「つまらない人生」かもしれません。
たった一度きりの人生。「やり切った!」と言って死にたいなら「狭くて険しい道」を選んで欲しいと思うのです。そうすればスリリングでエキサイティングな人生を歩めます。こういう道。最高ですよ。
5、お金の見え方が変わる
自分が元請けになったら、自分で集客もしないといけません。
集客するためにはチラシを配ったり、ウェブ広告を出したり、看板を出したりする必要があります。
そうなるとお金の見え方が変わります。
ちょっと話が脱線しますが、
「集客は1ミリたりとも他人に任せるな」ということはお伝えします。
職人はチラシを作ったこともないし、ホームページも作ったことないし、文章も書いたことないし、ましてやウェブ広告なんて出せるわけないと思っている人が多いです。
そのためチラシ作りは広告代理店に丸投げします。
そうすると広告代理店は、ある型にあなたの顔や会社名を入れて印刷して、新聞社に折り込みを依頼します。だいたい、外壁塗装のチラシの型は決まっています。みんな似たようなデザインと似たような文句が書かれています。
ですので広告代理店はその決まった型にあなたの顔や社名を入れるだけで完成させてしまうのです。
断言しますが、広告代理店はあなたの繁栄を願っていません。広告代理店はあなたから金を引き出すことしか考えていないのです。
ですので反応の良いチラシを作ろうなど1ミリたりとも考えません。どちらかと言えば反応が微妙なチラシを作って何回もあなたから広告依頼を受けるようにします。
あなた「おいおい!今回チラシに30万円もかけたのに1件しか問い合わせないじゃないか!(怒)」
広告代理店「まあまあ社長。落ち着いて。チラシというのは何回も撒くことで認知度が上がり問い合わせが増えるものです。ここは継続して撒いていきましょう。続けていけば必ず良い結果が得られますよ!」
あなた「ほうほう。なるほど。チラシとはそんなものなのか。よしわかった!継続していこう!」
広告代理店「ニヤリ( ̄∀ ̄)」
広告代理店は反応の良いチラシを作ることが仕事ではありません。反応が良くも悪くもない微妙なチラシを作ってあなたから継続的にお金を払ってもらうことが仕事なのです。それが良い広告代理店です。
ですので広告代理店を信用することはやめましょう。丸投げしてしまうと大事な金をドブに捨ててしまいます。
このようにチラシ集客一つをとってもお金の見え方や考え方は変わってきます。
大事なお金ですので、1円も無駄にはしたくありません。
広告代理店に任せて金をドブに捨ててしまうのか。それとも自分で考え反応の良いチラシを作って生き金にするのか。
お金に対する見方や接し方は大きく変わってきます。
ここでも他の職人とレベルの差が出てくるのです。
チラシ集客にしてもホームページ集客にしても、1件の問い合わせの重さを感じますし、1件の契約の重さも感じてきます。
下請けの時は、元請けから仕事が降ってきたのでそこまで重さを感じることはできませんが、自分で仕事を取るようになると1件契約できることがどれほど大変なのかがわかります。
そうなると自然とお客様への愛情や工事に気合いが入るものです。
6、人との関係が変わる
下請けの時は「仕事をもらう側」でしたが、元請けになると「仕事を頼む側」に移行します。
つまり主導権を握ることになります。これは偉くなったということではありません。威張っていいということでもありません。
工事を自分主導で動かすことができるようになるということです。
外壁工事は塗装屋だけでなく、大工や足場屋や板金屋や電気屋や屋根屋などが関わってきます。あなたが元請けになることでこのような業者と関係が深くなります。
今までは塗装屋や塗料屋だけとの関係だったものが、色々は業種の人と付き合うことになります。
そういった関係を深めることで「塗装工事はあの人にお願いしよう」という紹介を得られることがあります。
これからは「技術だけの時代」から「関係の時代」になっていきます。
技術しか持っていない人は変えが効きますが、技術と関係を持っている人は変えが効かないためその人が選ばれるようになります。
今から技術と関係を持っている人に昇華することは大事です。
7、一番大きく変わる「夜の時間」
元請けになることで未来を考える時間が増えます。
下請けの時は明日の現場のことを考えていることが多いです。
「明日、あの現場はあの作業をして、もう一人の職人をどこどこに現場に行かせて・・・」
という感じで現場の段取りを考える時間が多いです。
ですが元請けになると「来月の仕事」「半年後の仕事」「一年後の仕事」の思考をめぐらします。
「来月の仕事を得るために今のうちにチラシを打っていこう。今回はどこどこに地域にこれくらいの枚数を配ろう」
というふうに前もって戦略を練るようになります。
また、会社のブランド力を上げるために「今年のうちに新聞広告を出して知名度を上げていこう。すぐに契約は取れないかもしれないが、知名度が上がれば1年後2年後に契約が取れるだろう。今は攻めの時だ!1年後に回収するぞ」
という思考で動きます。1年後、2年後の計画をするようになるのです。
布団に入ってから考えることが明日から未来になっていきます。
目先のことだけ考えるのではなく、もっと中長期的なことを考えるようになります。
ここも下請けだけやっている職人と元請けをやる職人の大きな差になっていきます。
8、元請が向いている人、向いていない人
元請けになるということは、自分で多くのことを決められる自由が得られます。
しかし逆に、自由は責任を背負うことになります。
誰もが元請けに向いているわけではなく、下請けのままでいた方が幸せな人もいるでしょう。
元請が向いている人
- 決断を引き受けられる
- 断られることを引きずらない
- 向上心がある
- 諦めが悪い
- 簡単な道と険しい道が目の前にあったら険しい道を選べる
元請が向いていない人
- 全部を誰かに決めてほしい
- トラブルが極端に苦手
- 変化が怖い
- すぐに諦めてしまう
- 作業だけに集中したい
前章でお話ししたように「下請けは悪ではない」ということがあります。
下請けをすることで現場に集中でき、集客やお客様フォローはしなくて済みます。とにかく作業だけに集中したい人にとっては元請けではなく下請けのまま仕事をしていった方がいいでしょう。
元請けになるということは多くの責任を負いますし、仕事も増えます。収入も増える代わりに出ていく金も増えます。ただし、自由は手に入ります。
元請けだから偉い。下請けだから身分が低い。ということではないのです。
向き不向きがあるので自分に合った働き方をした方がいいと思います。
終章|あなたは、どこに立ちたいか
ここまで話してきたように、「元請け=楽になる」ということはありません。
下請けの方が楽であることもあります。
どのような志を持って生きていきたいかが問われます。
「現場に立ち、作業に集中できる環境にいたい」このように考えるのであれば下請けとしてやっていく方がいいと思います。
「お客様と接し、お客様に人生に寄り添いたい。良いも悪いも自分が必ず責任を持つ」という想いがあれば元請けになることをおすすめします。
大事になってくるのは、元請けになることが正解ではなく、選べる状態になることが正解です。
下請けという弱い立場で居続けるのではなく、元請けとしても仕事をして仕事が暇になったら下請けとしても仕事をするという柔軟性と選択権を持つことが大事です。
終わりに
ここまで読んでいただきありがとうございます。
1勝から6章までマインドセット(心構え)について話してきました。
あなたはどのように感じたでしょうか?
「やっぱり自分は元請けとして生きていきたい!」
と思う人もいれば
「下請けは決して悪くない。最強の下請けとして生きていこう」
と思う人もいます。
どちらも正解だと思います。
ただ一つ言えるのは、「選択できる状態を作る」というのはこれからの時代とても大事です。
下請けだけをしていると、元請けや景気に左右されます。あなたより優れた人が現れた時、あなたの存在価値がなくなってしまいます。砂の上に家を建てるようなもので、大風や地震がきた時崩れ落ちてしまう可能性があるのです。
しかし、「下請け+元請け」というスタンスで仕事をしていると集客力が身につき、営業力が身につき、現場を動かす能力も身につきます。そのような能力があれば下請けとしても最強の存在になれるのです。これは地盤が強固な岩盤に家を建てるようなものです。どんな強い風が来ても大きな地震が来ても崩れることがありません。
選択できる状態を作り上げる人になって欲しいと思います。
それでは次に「初心者でもできるチラシ集客の方法」について解説していきます。
いよいよ実践編に移っていきます。
集客編もぜひお読みください。

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