
このページでは塗装屋で独立する時にいくら資金があればいいのか?ということについてお伝えします。
私は貯金わずか30万円で塗装屋を起業しましたが、こんな少ない資金でも起業できます。
必要な資金と考え方についてお伝えします。
塗装で独立したい。でも、お金の話になると急に現実が重くなります。
「開業には何百万円もいるらしい」
「車も道具も倉庫も、全部揃えないと無理なんじゃないか」
調べるほど、必要なものが増えて見える。だから動けない。
もし今、そんな気持ちなら、先に結論からお伝えします。
最初から大金がなければ始められない、とは限りません。
ただし、考えなくていい、という意味でもありません。車、道具、材料、広告、保険、運転資金、生活費。現実的に見るべき費用はあります。
この記事では、私が塗装業を一人で始めたときに実際に使ったお金と、今ならどう考えるかを分けてお伝えします。
この記事でわかること
- 塗装の独立資金について、私が今答える目安
- 私が最初に実際に使ったお金
- 最初にかけるべきもの/買わなくてよいもの
- 生活費と広告費の余白の考え方
- 前金が資金繰りを守る理由
- 請負業者賠償責任保険をどう考えたか
- 融資について、誠実に伝えたいこと
始められる金額と、続けやすい金額は別です
今、「独立資金はいくら必要ですか?」と聞かれたら、私はこう答えます。
生活費として200万円。会社を運営する資金(広告費、資材、車両費など)として100万円。合計で300万円は欲しいところです。
これが、すすめたい目安です。
一方で、私自身は銀行残高30万円の状態から、この仕事を始めました。30万円でも始めることはできます。
最初に大きく使ったのは、チラシの広告代8万円です。少なくても、始めること自体はできます。
ただ、資金が少ないと精神的な苦痛は強くなります。仕事がすぐ取れなかったときの怖さ、判断の焦り、夜の不安。お金の余白は、単なる数字ではなく、頭の余裕でもあります。
だから、この記事では二つを混ぜません。
- 実例: 私は少額から始めた
- 目安: できるなら300万円前後は持っておきたい
「少額でもできた」を「誰でも簡単」にはしません。現実は、そのあいだにあります。
独立の始め方全体は、こちらにも書いています。
→ 塗装屋で独立するには?最初から元請けとして始める方法を職人が解説
私が最初に実際に使ったお金
塗装を一人で始めた前後で、最初に使ったお金はだいたいこれです。
- チラシ代:8万円(1万3千枚)
- 名刺:1,000円(100枚)
- 作業服:3,000円
あとのものは、仕事が決まってから集めました。
道具も塗料も、契約前に全部買い込んでいません。前金をいただいてから、必要なものを揃える。その順番でした。
中には「全て揃えてから独立する」と考えてしまう人います。人脈も完璧にして、道具も揃えて、車も新車を購入して・・・など。このように全て揃えてから独立しようと思ったら死ぬまでできません。
しかも全て揃えたからといって、独立後に「これは不要だった」と思うものができてきます。特に人脈とか。
ですので独立する時は必要最低限のものを揃えることを考えてください。
「開業=先に全部買う」ではなかったのです。先に集客して、必要になったら買う。初期費用も、ランニングコストも、その方が抑えられました。
必要になったら買う。
必要になったら人脈を作る。
この考え方が非常に大事です。
仕事がない不安への守り方は、資金とセットで考える必要があります。
→ 塗装屋で独立して仕事がない…を防ぐために独立前からやっておくこと
何にお金をかけるべきか/最初はいらないもの
最初にかけてよかったもの
集客のお金です。
私の場合はチラシでした。
いくら道具が揃っていても、お客様が来なければ売上はゼロです。逆に、仕事さえ取れれば、道具は後からでも揃えられます。
もう一つ、パソコンは必需品に近いです。チラシを作る。見積書を作る。あとからホームページを触る。スマホだけでもできないことはありませんが、後で必ず必要になる場面が出てきます。
機種に正解はありません。個人的には MacBook Air が使いやすかったです。
Windowsのパソコンも使ったことがありますが、個人的には使いやすさはAppleのMacシリーズがおすすめです。
いい機種ではなくていいのでMacBook Airのような下のグレードでもいいです。サクサク動くのでおすすめです。
最初に買わなくてよいもの
塗装道具や塗料は、現場で必要になったら買い足す方針で大丈夫だと思います。
足場は、私はすべて外注しました。
脚立の3尺脚立1つと6尺脚立1つで始めました。ハシゴは独立して3年後のようやく買った感じです。足場板は今でも持っていません。必要になったら足場屋さんから借りるようにしています。
物は、とにかく所有しない意識でやっていました。持つと置場もメンテも固定費も増えます。最初は、借りる・外注する・後で買う、で十分なことが多いです。
車も、今あるもので始められます。私は10万キロ以上乗ったオンボロ軽自動車で始めました。ただし、家族共用の車をペンキだらけにするのはよくありません。その場合は、安い軽自動車の購入も視野に入れてください。
そして、高圧洗浄機も最初から買わなくていいものの一つです。
高圧洗浄機は30万円以上します。最初は知り合いの塗装屋から借りて、お金をかけないようにしました。仕事がある程度来るようになってから購入する。その順番で十分だと思います。
「あったら便利」と「最初に必須」は違います。最初に必須なのは、問い合わせが来る状態を作ることの方です。
チラシの考え方は、こちらも参考にしてください。
→ 塗装チラシの作り方と失敗例|反応が出ない職人に足りない視点
生活費と広告費の余白を、先に見ておく
道具代だけ見て開業資金を計算すると、だいたい足りなくなります。消えるのは、生活費と広告費の余白です。
可能なら、1年分の生活費は貯めておきたい。最低でも、生活費として200万円は持っておくべきだと思います。加えて、チラシなどの広告費を30万円くらいは確保しておきたい、というのが今の感覚です。
なぜ広告費の余白が必要かというと、一回配っただけで終わるとは限らないからです。すぐに問い合わせが来ることもあれば、1ヶ月後、半年後、ということもあります。一件も来ない回もあります。
反応を待つあいだも、生活費は出ていきます。そこを見ていないと、「仕事がない」不安が一気に濃くなります。
私は残高が少ない状態から始めました。だからこそ言えます。少なくても始められるが、多い方が精神的に安定します。
前金(半分)が、資金繰りを守ります
商売をするうえで、「先にお金をもらう」のはとても大事です。
私に商売を教えてくれた方がいつも「金は先にもらえ」と言っていました。
この考えは非常に大事です。下請けだと、仕事をして1ヶ月後、 2ヶ月後に支払ってもらえます。これだと会社を運営するのは大変ですし、精神的にもきついところがあります。
ですが先にお金をもらっておけば精神的に安定しますし、必要な物はそのお金の中から支払えます。
私は最初の工事でも、前金として半分をいただきました。そのお金で塗料や道具を揃えました。
工事後に全額もらってから買う、というやり方でも悪くはありません。ただ、資金繰りをよくするには、現金を先に確保できた方が楽です。
経営状態を健全に保つためにも、前金はもらった方がいいです。これは間違いありません。現在も、前金半分・残金半分にしています。もしあなたが元請けとして商売をするなら前金をもらうように徹底してください。これがあなたを守る大きな要因になります。
独立初期は、売上が立つ前に材料費が出ていくと、一気に苦しくなります。前金の仕組みは、特別なテクニックというより、会社を守る基本です。
見積や契約の整え方は、実際に仕事が決まってからでも間に合いますが、流れだけ先に見ておくと安心です。
→ 元請け塗装工事に必要な見積書・契約書・工事説明|最初に整える書類とは
請負業者賠償責任保険は、会社を守るお金です
保険は、最初の日から全部揃っていたわけではありません。今でも多くの保険に入っているわけではありません。
ですが、請負業者賠償責任保険は非常に大事だと思い、一番先に加入しました。
請負業者賠償責任保険は、独立から1年後に加入しました。元請けとして仕事が来るようになり、必要性を感じてからです。
これは入った方がいい、と今ははっきり思っています。いいえ。絶対に加入してください。
強風で足場が揺れて外壁を傷める。ペンキが隣の車に飛ぶ。現場では、たまにそういうことが起きます。それを自腹で払うと、その工事で出た利益が吹き飛びます。
以前は強風で足場が外壁に当たり、外壁に穴を開けてしまいました。これを直すのに30万円。
他にも、隣の家の車にペンキを飛ばしてしまい、修繕費に40万円かかりました。
もしこれを自腹で払っていたら利益が吹っ飛び、その仕事はタダ働きになっていました。
保険に入っていたおかげで、この修理費は保険から出て利益を確保することができたのです。ですので請負業者賠償責任保険は本当に大事です。
私は損保ジャパンの請負業者賠償責任保険に加入しました。他の保険会社にも同じような物はあるので良いものに加入してください。
目安として、年間売上が1,000万円くらいだと、保険料は年5万円くらい、という感覚でした。数字は時期や条件で変わるので、一例として聞いてください。金額以上に、「何かあったときに会社が守られる」意味が大きいです。
最初から全部の保険を完璧に、と構える必要はないかもしれません。ただ、元請けの仕事が増えてきたら、後回しにしすぎない方がいいです。利益を守るための支出です。
融資についての考え方
できる限り、借入はしない方がいい、と私は思います。
私自身は、コロナ融資という借りやすい環境があったタイミングで、いくらか借りました。ほとんど使ってはいません。口座にお金がある安心感はありました。
それでも、本当は借りなくていいなら、借りない方がいいと思います。
借りれば、必ず返します。しかも、借りたお金を「自分の金」だと勘違いしやすいものです。心が大きくなって、不要なものに使いがちです。
人間は口座に金があると気が大きくなってしまうものです。
だから、最初のころは借入に頼らず、自分の金で会社を回していく方が健全だと思います。どうしても必要なのか、返せるのかは、慎重に判断してください。精神的な余裕のための借入にも、返済という現実がついてきます。
初心者が勘違いしやすい注意点
一つ目は、全部揃えてから開業しようとすることです。
人脈、車、道具、高圧洗浄機、倉庫、立派な事務所、ホームページ。全部が揃う日を待っていると死にます。この人生の中で独立することはできないでしょう。
特に人脈作りは本当に不要です。
人脈とは下請けになるための付き合いです。つまりその人の奴隷になりたいと思うようなものです。あなたが元請けとして生きていきたいなら人脈作りはしないでください。
元請けになり、自分ではできない仕事が出てきます。例えば足場組み立てとか板金工事とか、屋根工事とか。そういう時にその工事を行ってくれる業者を探す。これが人脈作りの始まりです。
仕事をもらうために人脈作りではなく、仕事をしてもらうための人脈作り。これが大事です。
全てを揃えようと思うと資金も気力も先に減ります。先に仕事を作り、必要になってから買う。その方が、無駄な支出は減りやすいです。
二つ目は、開業資金=道具代だけ、だと思うことです。
実際に重いのは、生活費と、問い合わせが来るまでの広告費、そして何かあったときの備えです。道具は後からでも買えます。生活費は、待ってくれません。
三つ目は、「少額で始めた人」の話を、自分の必勝法だと思い込むことです。
私の30万円は実例です。再現を保証するものではありません。目安として300万円を持っておけるなら、その方がいい。少額で始めるなら、なおさら収入源を残す、反応までの時間を見込む、前金で資金繰りを守る、といった守りが必要になります。
今日からできる小さな一歩
資金の不安は、漠然としているほど大きく見えます。一度、紙に分けてみてください。
- 今ある貯金・余剰を書き出す
- 「生活費」「広告費」「その他(車・保険など)」に分ける
- 最初に買うもの/借りるもの/後で買うものを三列にする
- 高圧洗浄機など高額機材は、「借りる前提」で書けないか確認する
塗装屋の独立に必要な資金は、人によって違います。最初から大金が必須とは限りません。ただ、何にかけるべきか、何を後回しにできるかは、はっきりさせられます。
豪華な設備より先に、一件取れる状態を作る。その順番が、お金の使い方としても筋がいい、と私は思っています。
関連記事
塗装屋で独立するには?最初から元請けとして始める方法
資金の前に、独立の全体像と始め方の順番を知りたい人向けです。
→ 塗装屋で独立するには?最初から元請けとして始める方法を職人が解説
塗装屋で独立して仕事がない…を防ぐために
お金の余白とセットで考えたい、「仕事がない不安」への守り方です。
→ 塗装屋で独立して仕事がない…を防ぐために独立前からやっておくこと
塗装チラシの作り方と失敗例
最初の支出になりやすい広告=チラシの考え方です。
→ 塗装チラシの作り方と失敗例|反応が出ない職人に足りない視点
元請け塗装工事に必要な見積書・契約書・工事説明
前金や契約の話につながります。
→ 元請け塗装工事に必要な見積書・契約書・工事説明|最初に整える書類とは
無料教材のご案内

独立資金の不安があるときほど、全部を一気に揃えなくていい、という順番が効きます。
今の収入や貯金を守りながら、最初の一件を取りにいく。その流れをまとめた無料教材『下請けを辞めずに、最初の一件を取る方法』を、LINEでお渡ししています。
お金の使い方と、仕事の取り方はセットです。気になった方は、ぜひ受け取ってみてください。
LINE登録後すぐに無料でお受け取りいただけます。
登録無料|現役の塗装職人が実体験をもとに作成

コメント